自治会の名簿と個人情報|紙の名簿も守る6つの確認ポイント

「名簿を作ってと言われたけれど、どこまで書いていいのか分からない」。そんな不安を抱えたことはありませんか。班長さんに名簿を渡すとき、集金台帳をコピーするとき、ふと手が止まる方も多いと思います。

多くの自治会・町内会では、今も紙の名簿が使われています。この記事では、紙の名簿を中心に、名簿と個人情報保護法の関係を整理します。あわせて、今日から使える6つの確認ポイントをご紹介します。読み終えるころには、名簿の扱いに自信を持って向き合えるはずです。

自治会が扱う名簿にはどんな種類があるか

自治会・町内会は、思っている以上に多くの名簿を扱っています。まずは、自分の自治会にどんな名簿があるかを洗い出すことが、安全な管理の第一歩です。

  • 世帯名簿: 全世帯の氏名・住所・電話番号などをまとめたものです。班長さんへの配布や、会費の集金に使われます。
  • 要支援者名簿(避難行動要支援者名簿): 市区町村から渡される、災害時に手助けが必要な方の名簿です。特に配慮が必要な情報を含みます。取り扱いの詳細は、お住まいの市区町村の担当課にご確認ください。
  • 集金台帳: 会費の納入状況をまとめたものです。「誰が払った・払っていない」という情報も含まれます。
  • そのほかの名簿: 敬老会の対象者リスト、行事の参加者名簿なども、名簿の一種です。

これらはすべて、次にご紹介する法律の対象になり得ます。ただし要支援者名簿については、市区町村との取り決めが別にあり、その内容が優先されます。

名簿の種類と紙・電子の整理。世帯名簿・要支援者名簿・集金台帳について、紙の名簿と電子化・ホームページ掲載の場合の基本的な注意点を示した表。世帯名簿と集金台帳は、紙では保管・持ち出し・配布の基本ルールを決めること、電子化する場合はさらに別の注意点が加わることを示す。要支援者名簿は紙・電子にかかわらず、市区町村との取り決めが優先されることを示し、取り扱いは市区町村の担当課にご確認くださいと案内している。図の下部には、敬老会や行事の参加者名簿など、ほかにもあるかもしれないので、自分の自治会にどんな名簿があるか照らし合わせてみましょう、という案内がある。

紙の名簿も個人情報保護法の対象になること

紙の名簿であっても、個人情報保護法の対象になることがあります。「ホームページに載せていないから関係ない」というわけではありません。

自治会・町内会が対象になるかどうかも、まず押さえておきたい点です。個人情報保護委員会の考え方では、会員名簿などを継続的に扱っていれば、営利・非営利を問わず対象になるとされています。

かつては、5,000人分以下の個人情報しか持たない小規模な団体は、法律上の義務から外れるとされていました。ですが2017年(平成29年)5月30日の施行によって、この区分はなくなっています。団体の規模にかかわらず、名簿などを扱う自治会・町内会は対象になります。

次に、紙の名簿そのものが対象になるかどうかです。「データベースというのは、パソコンの中の話では」と思われるかもしれません。しかし個人情報保護委員会は、コンピュータを使わなくても対象になり得ると考えています。一定の条件を満たす紙の名簿は、「個人情報データベース等」に当たります。その条件とは、五十音順や班ごとなど、一定の決まりで整理されていることです。そのうえで、目次・索引・番号などによって、特定の人をすぐに探し出せる状態になっていることです。

多くの自治会・町内会の名簿は、世帯順や五十音順に整理されています。この条件に当てはまることが多いと考えられます。「紙だから」「小さな会だから」という理由だけでは、対象から外れません。

紙の名簿を安全に管理する基本

管理の話に入る前に、ひとつ決めておきたいことがあります。「その名簿を何のために使うか」です。たとえば「会員名簿を作り、名簿に載る会員に配るため」といった書き方をします。決めた目的は、名簿の記入をお願いする用紙に書いて、本人に伝えておきましょう。目的を決めて伝えておくと、後から「そんな話は聞いていない」というトラブルを防げます。

難しいルールを新しく作る必要はありません。「どこに置くか」「誰が持ち出せるか」「外に渡してよいか」「役員交代のときどう渡すか」を決めておきましょう。それだけで、多くのトラブルを防げます。

  • 保管場所を決める: 名簿は、誰でも手に取れる場所ではなく、鍵のかかる棚や引き出しに保管しましょう。個人情報保護委員会のガイドラインでも、書類等の盗難・紛失を防ぐための保管方法を工夫することが求められています。
  • 持ち出しのルールを決める: 名簿を自宅へ持ち帰るときや、配布のために持ち出すときは、簡単なメモを残しておきましょう。「誰が」「いつ」「何のために」持ち出したかが分かれば十分です。置き忘れや紛失に、早く気づけるようになります。
  • 配る範囲を必要最小限にする: 名簿のコピーは、本当に必要な人数分だけにしましょう。使い終わったコピーは、シュレッダーにかける、細かく破くなど、読み取れない形にしてから処分します。
  • 自治会の外に渡すときは本人に確認する: 名簿を市役所・社会福祉協議会・他の団体などに渡す場合は、あらかじめ本人の同意を得ておくのが原則です。名簿を集めるときに、記入をお願いする用紙へ「どこに配るか」を書いておきましょう。それを読んだうえで記入して出していただけば、同意をいただけたことになります。渡す先が増えるときは、あらためて確認しましょう。
  • 役員交代の引き継ぎを明確にする: 前任者から新しい担当者へ、名簿の冊数と保管場所をはっきり伝えましょう。古い名簿を前任者の家に置いたままにしない、というのも大切な確認事項です。
  • 万が一、紛失や漏えいに気づいたら: まずは自治会の役員内で、事実関係を共有しましょう。病歴や障害に関する情報など、特に配慮が必要な情報を含む名簿もあります。こうした名簿が外に出てしまった場合は、個人情報保護委員会への報告と、本人へのご連絡が、法律上必要になることがあります。報告には期限の目安もあります。名簿が見つからないときや、盗まれたおそれがあるときも、報告が必要になる場合があります。気づいたら、市区町村の担当課や専門家に早めにご相談ください。特に要支援者名簿は、対応の進め方について市区町村との取り決めが別にあります。報告が必要かどうかも含めて、自治会だけで判断せず、必ず市区町村にご相談ください。なお個人情報保護委員会は、こうした場合の対外的な公表についても、考え方を示しています。二次被害を防ぐ観点から、自治会の外に向けて、事実関係や再発防止策を速やかに公表することが望ましいとされています。対応に迷うときは、自己判断で抱え込まず、専門家や市区町村の窓口に相談することをおすすめします。

名簿を電子化・ホームページに載せる場合はさらにこの点を

名簿の一部をホームページに載せたり、電子データで管理したりする場合は、紙の名簿とは別の注意点が加わります。

たとえば役員名簿をホームページに載せる場合は、写真の同意の取り方の判断が加わります。氏名・連絡先をどこまで公開するかという判断も必要です。この点は「自治会ホームページの個人情報対策|写真・氏名掲載の注意点3つ」で詳しくご紹介しています。ホームページへの掲載を検討中の方は、あわせてご覧ください。

名簿を扱うときの6つの確認ポイント

ここまでの内容を、6つのポイントにまとめました。役員会で配って、そのまま話し合いの材料にしてください。

  1. うちの自治会には、どんな名簿があるか洗い出したか(世帯名簿・要支援者名簿・集金台帳など)
  2. 名簿は個人情報保護法の対象になると理解しているか(紙の名簿でも、整理された状態なら対象になり得ます)
  3. 名簿を何に使うか、集めるときに本人へ伝えているか
  4. 保管場所と持ち出しのルールを決めているか
  5. 名簿を配る・コピーする範囲を必要最小限にし、自治会の外に渡すときは本人の同意を確認しているか
  6. 役員交代のときの引き継ぎ方法(誰に何冊渡すか、古い名簿をどうするか)を決めているか

このチェックリストは、そのまま役員会の申し合わせ資料として使えます。担当者が代わっても、同じ基準で判断できるようにしておきましょう。

名簿を扱うときの6つの確認ポイントを、チェックボックス付きの一覧にした印刷用シート。本文と同じ文言の6項目を、番号と大きめのチェックボックスで示している。色ではなく線と文字のコントラストで構成しており、白黒印刷でも判読できる。自治会名・確認日の記入欄がある。下部には、このチェックリストは役員会の申し合わせ資料として使えること、担当者が代わっても同じ基準で判断できること、迷うときは自己判断で進めず市区町村の担当窓口や専門家にご相談くださいという案内がある。

まとめ|名簿の扱いに自信を持つために

  • 自治会・町内会が扱う名簿は、世帯名簿・要支援者名簿・集金台帳など多岐にわたる
  • 紙の名簿も、整理された状態であれば個人情報保護法の対象になり得る
  • 利用目的を伝え、保管・持ち出し・外部への提供・役員交代の引き継ぎのルールを決めておけば、多くのトラブルを防げる

法律の細かい判断に迷ったときは、自己判断で進めず、弁護士など専門家や市区町村の担当窓口に相談することをおすすめします。

名簿の一部をホームページに載せることを検討している方は、次の記事もあわせてご覧ください。

「自治会ホームページの個人情報対策|写真・氏名掲載の注意点3つ」

参考にした公的資料

この記事の内容は、次の公的資料をもとに確認しています。

  • 個人情報保護委員会 FAQ Q1-54(非営利団体が個人情報取扱事業者に当たるか): https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq1-q1-54/
  • 個人情報保護委員会 FAQ Q2-4(「個人情報データベース等」とは何か): https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq2-q2-4/
  • 個人情報保護委員会 FAQ Q4-18(個人データの漏えい等が発生した場合、事実関係及び再発防止策等について公表すべきか): https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq2-q4-18/
  • 個人情報保護委員会「漏えい等報告・本人への通知の義務化について」: https://www.ppc.go.jp/news/kaiseihou_feature/roueitouhoukoku_gimuka/
  • 個人情報保護委員会「自治会・同窓会等向け 会員名簿を作るときの注意事項」(令和5年12月): https://www.ppc.go.jp/files/pdf/meibo_sakusei_handbook202312.pdf
  • 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(物理的安全管理措置): https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/