自治会の会則見直し方|よくある改正ポイント5つとひな形

「会費が実情に合わなくなった」「役員のなり手が減って、いまの決まりのままでは回らない」。そんな声から、会則を見直そうという話が出ることはありませんか。

この記事では、自治会・町内会でよく見直される改正ポイント5つをご紹介します。あわせて、会則を改正するときにそのまま使える新旧対照表のひな形もご紹介します。会則の変更は、役員会だけで決められる話ではありません。まずそのことを踏まえて、読み進めてください。

会則の見直しは、まず「総会の議決」を意識する

結論から先にお伝えします。会則(規約)の変更は、多くの場合、総会の議決が必要です。役員会や一部の役員だけで話を進め、変更が決まったかのように扱うと、あとで「そんな話は聞いていない」となりかねません。

会則には、たいてい「この会則を変更するときは、総会の議決を経なければならない」といった条文があります。まずは自分の会の会則で、変更の手続きがどう定められているかを確認してください。

市区町村長の認可を受けている自治会(認可地縁団体)の場合は、総会の議決に加えて、市区町村長の認可も必要です。認可を受けないと、変更の効力は生じません。総会で決めたあと、市区町村への手続きが必要です。総会の進め方や定足数の基本は、別記事「自治会総会の議事録の書き方|委任状のひな形と定足数の基本」でご紹介しています。自分の会がどちらに当たるか分からないときは、市区町村の自治会担当の窓口で確認できます。

この記事は、よくある改正ポイントと書式の一般的な例をご紹介するものです。会則の効力や手続きの詳しいところは、会によって定めが異なります。実際に見直しを進めるときは、ご自分の会の会則、自治体の担当窓口、行政書士など専門家にご確認ください。

よくある改正ポイント5つ

会則の見直しでよく話題になるのは、次の5つです。

よくある改正ポイント5つの点検リスト。会費、役員、総会、退会・会員資格、個人情報・名簿の各見直しのきっかけを一覧にしたもの
よくある改正ポイント5つの点検リスト

①会費(金額・徴収方法)

物価や活動費の変化により、いまの会費では足りなくなることがあります。口座振替への切り替えや、集金の担当を減らしたいという声から、徴収方法そのものを見直す会もあります。金額を変えるときは、値上げの理由と使いみちを、会員にきちんと説明することが欠かせません。会員への説明文の書き方は、別記事「自治会のお知らせ文例集」の文例5でご紹介しています。

②役員(選出方法・任期・欠員の補充)

「順番で回す」という決め方が、世帯数の減少や高齢化で立ち行かなくなり、選出の方法自体を見直す会が増えています。任期の年数、再任の可否、欠員が出たときの補充の仕方も、あわせて見直されることが多い項目です。役員の決め方や、なり手が見つからないときの進め方は、別記事「自治会役員のなり手不足」でご紹介しています。断られたときの進め方や、免除の基準もあわせてご紹介しています。

③総会(定足数・議決方法・書面表決)

出席者が減り、定足数(総会を成立させるために必要な出席者数)を満たせるか、毎年ひやひやするという悩みがあります。そこで、委任状や書面での賛否の扱いを見直す会もあります。定足数の数え方や委任状のひな形は、別記事「自治会総会の議事録の書き方|委任状のひな形と定足数の基本」にまとめています。

④退会・会員資格(任意加入・脱退の明記)

単身の高齢世帯や、マンションの若い世帯から、退会の申し出が増えています。退会の手続き(申し出先・時期・会費の扱い)が会則にはっきり書かれていないことに気づく会もあります。加入・脱退が任意であることや、手続きの流れを明記しておくと、実際に申し出があったときに落ち着いて対応できます。退会の申し出を受けたときの心得は、別記事「『自治会を辞めたい』と言われたら」でご紹介しています。会費の清算や名簿更新といった実務の進め方も、あわせてご覧ください。

⑤個人情報・名簿の取り扱い

名簿の作成・配布・保管について、会則に何も定めがない会は少なくありません。個人情報への関心が高まる中、名簿に載せる項目や、扱ってよい範囲を会則や細則で決めておく会が増えています。名簿を扱うときの確認ポイントは、別記事「自治会の名簿と個人情報|紙の名簿も守る6つの確認ポイント」でご紹介しています。

会則見直しの進め方(5つの手順)

  1. 現状の確認 いまの会則を読み直し、実態と合わなくなっている条文を洗い出します。
  2. 改正案づくり 見直す条文を絞り込み、新旧対照表の形で改正案を作ります。
  3. 役員会での検討 改正案を役員会で検討し、内容と理由を整理します。
  4. 総会への提案・議決 総会の議案として諮り、議決を得ます。
  5. 施行と周知 施行日を決め、変更後の会則を会員に配ります。
会則見直しの進め方5つの手順。現状の確認、改正案づくり、役員会での検討、総会への提案・議決、施行と周知。4番目の総会の議決は省略できないことを強調
会則見直しの進め方(5つの手順)

急ぎのときでも、2と4の間に十分な時間をとってください。改正の中身を知らないまま総会に呼ばれると、その場で反対意見が出やすくなります。事前に案を回覧しておくと、総会がスムーズに進みます。

そのまま使える新旧対照表のひな形

会則の改正案は、変更する条文だけを「現行」と「改正案」で並べる、新旧対照表の形にすると分かりやすくなります。【 】の部分に、自分の会の条文番号・数字・理由を入れてお使いください。「△△自治会」のような書き方も、お使いの会の名前に直してください。

△△自治会会則 新旧対照表(案)

【第◯条】(会費)
 現行  会費は、1世帯につき年額【現行の金額】円とする。
 改正案 会費は、1世帯につき年額【改正後の金額】円とし、口座振替による徴収を基本とする。
 改正理由 【  】

【第◯条】(役員の任期)
 現行  役員の任期は【 】年とし、再任は【妨げない】とする。
 改正案 役員の任期は【 】年とし、再任は【  】とする。
 改正理由 【  】

【第◯条】(退会)
 現行  退会しようとする会員は、【  】に申し出るものとする。
 改正案 退会しようとする会員は、【申出先】に、【書面・口頭】で申し出るものとする。
 改正理由 【  】

附則
 この会則は、令和【 】年【 】月【 】日から施行する。

条文の番号や言い回しは、いまお使いの会則の形式にあわせて直してください。附則の施行日は、周知にかかる期間を考えて、総会での議決から少し余裕をもって決めます。

新旧対照表の記入例。会費、役員の任期、退会の3条文について、現行と改正案を左右で比べた表。附則の施行日欄つき
新旧対照表の記入例

総会に諮るときの説明文

改正案は、新旧対照表だけでなく、理由をひとことまとめた説明文をあわせて示すと、会員に伝わりやすくなります。

第【 】号議案 会則の一部改正について

 現在の会則は、【  】年に定めたもので、
【世帯数の変化・会費の実情との差など】により、
実態に合わない箇所が出てきました。
つきましては、下記のとおり会則の一部を改正したく、ご審議をお願いいたします。

 改正する条文 第【 】条(【条文の見出し】)
 改正の理由  【  】
 施行の時期  令和【 】年【 】月【 】日から

 新旧対照表を別紙のとおり添付します。
 ご不明な点は【担当者名】までお尋ねください。

専門家に相談したほうがよい場面

会則の見直しの多くは、市区町村が公開している規約の例や、これまでの会の慣習を参考にすれば進められます。一方で、次のような場面は、行政書士など専門家や、市区町村の担当窓口に相談したほうが安心です。

  • 退会の条件や会費の未納時の扱いなど、会員の権利・義務に大きく関わる改正をするとき
  • 会則の解釈で会員の意見が割れ、対立が心配なとき
  • 認可地縁団体の認可の手続きが絡むとき

これ以外の、条文の言い回しの整理や、書式の調整は、まず会則の例や市区町村の窓口で足りることが多いです。

まとめ|会則を見直すときに押さえたいこと

  • 会則の変更には、多くの場合、総会の議決が必要です。役員会だけで決めることはできません。
  • よくある改正ポイントは、会費・役員・総会・退会・個人情報の5つです。
  • 改正案は、新旧対照表の形にすると、理由とあわせて会員に伝わりやすくなります。
  • この記事は一般的な例です。効力や手続きは、ご自分の会則・自治体窓口・専門家にご確認ください。

総会の進め方や委任状のひな形は、別記事「自治会総会の議事録の書き方|委任状のひな形と定足数の基本」でご紹介しています。会員への周知文は、別記事「自治会のお知らせ文例集|総会案内・会費集金・清掃当番の例文」もあわせてご覧ください。