自治会ホームページの個人情報対策|写真・氏名掲載の注意点3つ
「行事の写真をホームページに載せたいけれど、個人情報は大丈夫だろうか」「役員名簿を載せたら、会員から苦情が来ないだろうか」。自治会・町内会のホームページ作りを考えるとき、多くの役員さんがこの不安にぶつかります。
この記事では、写真や氏名を掲載するときに気をつけたい3つのポイントと、掲載前にそのまま使えるチェックリストをご紹介します。読み終えるころには、安心して情報発信を始める一歩が踏み出せるはずです。
自治会ホームページで個人情報が問題になりやすい場面
自治会のホームページで個人情報が話題になりやすいのは、主に「行事の写真」「役員名簿」「会員名簿」の3つの場面です。
- 行事・イベントの写真: お祭りや運動会などの集合写真は、参加者の顔がはっきり写ります。載せる前に、誰が写っているかを確認しておきたい場面です。
- 役員名簿: 会長や班長の氏名・電話番号を載せると会員が連絡しやすくなりますが、その分、個人の連絡先が広く公開されることになります。
- 会員名簿・出欠情報: 「誰が行事に参加したか」「誰が会費を納めているか」といった情報は、本人以外に知られたくないと感じる方も少なくありません。
これらは「載せてはいけない」という意味ではありません。次の章で、どう配慮すれば安心して載せられるかを見ていきましょう。
写真を掲載するときに確認しておきたいこと
行事やお祭りの集合写真のように、顔がはっきり分かる写真も個人情報の一つです。ただし写真は、名簿のように検索・整理された「個人データ」とは扱いが異なるとされています。それでも、不特定多数の人が見るホームページに載せる以上、写っている本人の同意を得ておくと安心です。肖像権(自分の姿を無断で使われない権利)への配慮として、載せる前にひとこと確認しておきましょう。
- 写真の同意: 行事の案内をするときに「当日の様子をホームページに載せることがあります」とひとこと伝えておきましょう。後から「知らなかった」というトラブルを防ぎやすくなります。ただし、事前のお知らせと本人からの同意は別のものです。お知らせは備えとして有効ですが、「載せてほしくない」という申し出があれば、そちらを優先しましょう。子どもが写る場合は、保護者の同意を得ることが望ましいとされています。
- 集合写真への配慮: 大勢が写る集合写真は、一人ひとりに同意を取るのが難しいこともあります。その場合は、後ろ姿や遠景を選ぶ、顔がはっきり分からない構図にするといった工夫が考えられます。顔が写っていなくても、名札・表札・車のナンバーなどが読み取れると個人が分かってしまうことがあります。
名簿・連絡先を掲載するときに確認しておきたいこと
役員名簿や会員名簿のように、特定の人を検索できる形でまとめた名簿は、個人情報保護法でいう「個人データ」にあたります。名簿をホームページに公開することは、法律上「第三者への提供」にあたるため、本人の同意を得ておくのが原則です。
- 氏名の範囲: 役員名簿は、フルネームのかわりに苗字だけ、または役職名だけにとどめている自治会もあります。たとえば「会長:山田」「広報担当:田中」のような書き方です。
- 連絡先の範囲: 電話番号や住所を載せる場合は、会員専用ページに限定する、あるいは自治会館の代表番号のみを載せるという工夫が考えられます。ただし、会員専用ページであっても、載せる本人から見れば他の会員も「第三者」にあたります。範囲を狭めることはリスクを下げる工夫にはなりますが、それだけで同意が不要になるわけではありません。
掲載前チェックリスト|同意の取り方と表現の工夫
掲載する前に、次の8つを役員間で確認しておくと安心です。
- 名簿や写真を何に使うか(会報の配布、行事の連絡、ホームページでの活動紹介など)を決めて、本人に伝えたか
- 行事の案内や回覧板で「ホームページに掲載することがある」と事前に伝えたか
- 写真に写る本人(子どもの場合は保護者)から同意を得たか
- 名簿を公開する場合、本人から同意を得たか
- 氏名は苗字のみ・役職名のみなど、必要最小限にとどめているか
- 連絡先を載せる場合、会員専用ページなど範囲を限定したか
- 名簿のデータや紙の保管方法(持ち出しの可否、置き場所、担当者交代時の引き継ぎ)を決めているか
- 「掲載をやめてほしい」と言われたときの相談窓口を、あらかじめ決めているか
このチェックリストは、役員会での申し合わせ事項として共有しておくと、担当者が交代しても同じ基準で判断しやすくなります。

2017年の法改正で、自治会・町内会も対象になったこと
個人情報保護委員会は、会員名簿などを継続的に扱っている自治会・町内会も対象になる、との考え方を示しています。営利・非営利の別は問わない、というのが委員会の考え方です。
以前は、5,000人分以下の個人情報しか持たない小規模な団体は、法律上の義務の対象外とされていました。しかし2017年(平成29年)5月30日の施行以降、この区分はなくなりました。規模の大小にかかわらず、会員名簿などを扱う自治会・町内会も対象になります。
対象になるかどうかの分かれ目は、「会員の名簿を、すぐ探せる形で継続的に持っているかどうか」です。会員名簿をお持ちの自治会・町内会は、対象になると考えて備えておくのが安全です。
個人情報保護委員会は、自治会・同窓会向けに、会員名簿を作るときの注意点をまとめた資料も公表しています。詳しくは、この記事の末尾にある「参考にした公的資料」をご覧ください。
とはいえ、「うちの自治会は、具体的にどこまで対応すればよいのか」といった判断に迷うこともあるでしょう。そのようなときは、自己判断で進めず、弁護士など専門家に確認することをおすすめします。
まとめ|安心して情報発信を続けるために
- 個人情報が問題になりやすいのは「写真」「役員名簿」「会員名簿」の3つの場面
- 写真は肖像権への配慮として、名簿は個人データの第三者提供として、それぞれ本人の同意を得ておくのが基本
- 掲載前はチェックリストで確認し、判断に迷ったときは専門家に相談する
個人情報への配慮に自信が持てず、ホームページ作りを迷っている自治会・町内会の方は、お気軽にお問い合わせください。
なお、法律上の判断そのものについては、弁護士など専門家にご確認ください。私たちがお手伝いできるのは、決めた方針を、ホームページ上でどう形にするかという部分です。たとえば、載せる範囲の分け方や、会員専用ページの作り方、掲載をやめる手順などです。
参考にした公的資料
この記事の内容は、次の公的資料をもとに確認しています。
- 個人情報保護委員会 FAQ Q1-54(非営利団体が個人情報取扱事業者に当たるか): https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq1-q1-54/
- 個人情報保護委員会「自治会・同窓会等向け 会員名簿を作るときの注意事項」(令和5年12月): https://www.ppc.go.jp/files/pdf/meibo_sakusei_handbook202312.pdf
- 個人情報保護委員会 FAQ「Q7-11」(写真と個人情報の扱いについて): https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq1-q7-11/

